「ゴーヤーちゃんぷるー」という映画をご存じでしょうか。
2005年に製作され、2006年6月24日に公開された映画で、主演は現在も活躍を続ける多部未華子さん。監督は松島哲也さん、原作は児童文学作家・竹内紘子さんの『まぶらいの島』です。上映時間は約101分。
タイトルからすると、沖縄の料理や観光をテーマにした、明るく楽しい映画を想像するかもしれません。ところが、実際の内容はかなり違います。この映画が描いているのは、いじめ、不登校、家族、孤独、そして「生きること」。その舞台として選ばれたのが、沖縄県の西表島です。
舞台は沖縄・西表島
物語の主人公は、東京都内の中学校に通う15歳の少女・鈴木ひろみ。
学校でいじめに遭ったことをきっかけに不登校となり、自分の部屋に閉じこもるようになっています。父親は海の事故で亡くなり、母親はひろみが2歳のときに家を出てしまいました。祖父母と暮らすひろみにとって、唯一ともいえる話し相手が、インターネットで知り合った青年「ケンムン」です。
そのケンムンが暮らしているのが、西表島。
しかも、ひろみが幼いころに家を出て行った母親も、偶然、西表島で暮らしていることが分かります。ひろみはケンムンに会うため、そして母親に会うため、祖父母に黙って東京を飛び出し、西表島へ向かいます。そこから、ひろみの心に少しずつ変化が起きていきます。
「沖縄の離島」を舞台にした映画としても面白い
この映画で特に印象に残るのが、西表島。
最近では「離島を舞台にした映画」といいながら、実際の撮影は都市部や本島などで行われている作品もあります。その点、「ゴーヤーちゃんぷるー」は、作品そのものが西表島を重要な舞台として描いています。
竹内紘子さんの原作『まぶらいの島』は奄美を舞台としていましたが、映画化に際して舞台を沖縄・西表島へ変更し、沖縄県内でロケが行われました。そのため、この映画では単なる「沖縄っぽい風景」ではなく、島で暮らす人々の生活や、人との距離感、そして自然の存在が物語の中に入り込んでいます。
西表島を知っている人なら、「あ、この雰囲気分かる」と感じる場面もあるのではないでしょうか。
生きること、命をテーマにした映画
この映画の大きなテーマは、「生きること」や「命」。
こうしたテーマを正面から扱う映画というと、どうしても重く、説教くさくなってしまう作品があります。しかし、「ゴーヤーちゃんぷるー」は、そこを比較的ストレートに描いています。いじめによって人を信じられなくなった少女が、西表島でさまざまな人と出会い、人の優しさに触れていく。そして、少しずつ「自分も生きていていいんだ」と思えるようになっていく。そんな少女の心の変化を、西表島の自然や島の人々との交流を通して描いています。
個人的には、こういう映画は「何かを深く考えさせよう」と難しく描くよりも、これくらいストレートに伝えてくれたほうが分かりやすいと思いました。
「人は一人では生きていけない」
「人との出会いによって、もう一度前を向けることがある」
この映画が伝えようとしていることは、かなりシンプルです。
だからこそ、素直に入ってくる作品なのだと思います。
多部未華子の若き日の主演作
そして、この映画を語るうえで外せないのが、多部未華子さん!!
現在ではすっかり実力派女優として知られていますが、「ゴーヤーちゃんぷるー」は、多部未華子さんがまだ若手だった時期の主演映画。
当時の多部さんは、映画『HINOKIO』『青空のゆくえ』などで注目を集めており、その後、2007年のドラマ「山田太郎ものがたり」、2008年の「鹿男あをによし」、さらに2009年のNHK連続テレビ小説「つばさ」へと活躍の場を広げていきます。
「ゴーヤーちゃんぷるー」で演じているのは、学校でいじめに遭い、人との関わりを避けるようになった少女・ひろみ。明るく元気な女子中学生ではありません。
人を信じられず、母親にも複雑な感情を抱え、どこにも自分の居場所がないと思っている少女です。
そんなひろみの心の変化を、多部未華子さんが非常に自然に演じています。
特に、最初の頃の閉ざされた表情と、西表島で人と触れ合うようになってからの表情の変化を見ると、この頃からすでに演技力の高さがあったことを感じます。
沖縄の人にはおなじみの顔も
この映画には、沖縄の人なら「おっ」と思う出演者も登場します。
まず注目したいのが、沖縄民謡の第一人者として知られる大城美佐子さん。大城美佐子さんは、物語の中でも重要な役どころで出演しています。
さらに、沖縄・石垣島周辺の音楽や文化に詳しい人なら、鳩間可奈子さんにも注目です。
鳩間可奈子さんをはじめ、鳩間一家も出演しているので、沖縄の人にとっては、こうした出演者を探しながら見るのも、この映画の楽しみの一つだと思います。
そのほかにも、美木良介さん、下條アトムさん、新海百合子さん、玉城満さん、森田健作さん、北村和夫さん、風吹ジュンさん、武田航平さんなど、豪華な出演者が顔をそろえています。
特に北村和夫さんは、NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」などでも知られた俳優です。2007年に亡くなられているため、現在から見ると、北村和夫さんの出演作としても貴重な作品の一つといえるでしょう。
そして森田健作さんは、この作品の企画に携わっているだけでなく、出演者としても登場しています。
沖縄を舞台にした映画だけに、沖縄出身・沖縄ゆかりの人たちがどこに登場するのかを探しながら見るのも、この映画の面白さではないでしょうか。
西表島の風景も、この映画の魅力
この映画では、ストーリーだけでなく、西表島そのものが重要な存在になっています。大自然に囲まれた島で暮らす人々。海。島の風景。
そして、都会で人との関係を失ってしまった少女が、島の人々との交流を通して少しずつ変わっていく。その対比が、この映画の大きな魅力です。
東京では自分の居場所を見つけられなかったひろみが、西表島ではさまざまな人と出会い、人の温かさに触れていく。
「都会から沖縄の離島へ行けば、すべてが解決する」という単純な話ではありません。
それでも、環境が変わり、新しい人と出会うことで、人の心が少しずつ変わっていくことはある。
この映画は、そんなことを西表島という場所を通して描いているように感じます。
「ゴーヤーちゃんぷるー」は、沖縄映画として見るのも面白い
「ゴーヤーちゃんぷるー」は、いわゆる沖縄観光映画ではありません。むしろ、かなり重いテーマを扱った作品です。
いじめ、不登校、家族との別れ、孤独。
それだけを見ると、重苦しい映画に思えるかもしれません。
しかし、そこに西表島の自然と島の人々が加わることで、映画全体にはどこか温かさがあります。そして何より面白いのが、2005年製作ということで、現在とは違う時代の「インターネットで知り合った人との交流」が物語の重要な部分になっていることです。
今から見ると、当時のインターネット事情や携帯電話でのコミュニケーションも、ちょっと懐かしく感じられるかもしれません。
現在のSNSとは違う時代の物語として見るのも面白いでしょう。
まとめ
「ゴーヤーちゃんぷるー」は、沖縄の美しい風景を楽しむだけの映画ではありません。いじめによって心を閉ざした少女が、西表島で人と出会い、自然の中で少しずつ生きる力を取り戻していく物語です。
そして、若き日の多部未華子さんを見ることができる作品でもあります。
沖縄を舞台にした映画が好きな人。西表島が好きな人。多部未華子さんの初期作品を見てみたい人。
そして、少し古い沖縄映画を見てみたい人には、一度見てほしい作品です。
2005年製作、2006年公開。
今から20年ほど前の映画ですが、西表島を舞台に「人はどうやって生きていくのか」を描いた作品として、今見ても考えさせられるものがあります。
「ゴーヤーちゃんぷるー」作品情報
- 製作年:2005年
- 公開日:2006年6月24日
- 上映時間:101分
- 監督・脚本:松島哲也
- 脚本:宇山圭子
- 原作:竹内紘子『まぶらいの島』
- 企画:森田健作、福山龍次
- 出演:多部未華子、風吹ジュン、武田航平、大城美佐子、美木良介、下條アトム、新海百合子、玉城満、森田健作、北村和夫ほか
- 配給:アウル21
- 舞台:沖縄県・西表島
視聴方法
2026年8月現在、『ゴーヤーちゃんぷるー』のネット配信サービスはありません。
(配信サービスは頻繁に変更になりますので、視聴前に各サービスご確認ください)
「TSUTAYA DISCAS」ではレンタルが可能です。見たい映画を検索して、チェックを入れておくと、順番に送られてきます。返却はポストに入れるだけ。
今時、DVDって感じもしますが、ここで紹介している、ちょっと古い映画は、ネット配信されていないもが多いので、歴代の沖縄が舞台の映画を見るには、便利なシステムです。
主なプラン
定額レンタル8: 月額2,052円(税込)
定額レンタル4: 月額1,026円
都度課金(単品)
2026年8月現在
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