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沖縄映画「恋しくて」―BEGINの青春をモチーフに描いた石垣島の青春映画

沖縄が舞台の映画

沖縄を舞台にした映画を数多く手掛けてきた中江裕司監督。

これまでにも「ナビィの恋」や「ホテル・ハイビスカス」など、沖縄の人々や文化、暮らしを独特の温かい視点で描いた作品を紹介してきました。

今回紹介するのは、2007年に公開された映画「恋しくて」。

舞台は沖縄本島ではなく、八重山諸島の石垣島。

石垣島出身の人気バンドBEGINの青春時代をモチーフに、音楽、友情、恋、そして島で暮らす高校生たちの成長を描いた青春映画です。

BEGINの青春時代をモチーフにした物語

「恋しくて」は、BEGINのエッセイ「さとうきび畑の風に乗って」にインスパイアされて、中江裕司監督が脚本を書いたオリジナルストーリー。
そのため、BEGINの実話をそのまま映画化した作品というわけではありません。

映画では、高校生の加那子が幼なじみの栄順と再会するところから物語が始まります。
加那子の兄・セイリョウが突然「バンドをやる」と言い出し、栄順がボーカル、幼なじみのマコトがギター、セイリョウがドラムを担当。
文化祭への出場を目指して、3人のバンド活動が始まります。
音楽を中心にしながらも、そこには高校生らしい恋や友情、家族との関係などが描かれています。
いわば、石垣島版の青春音楽映画です。

「沖縄」ではなく「石垣島」を感じられる映画

私がこの映画を好きな理由の一つが、石垣島の雰囲気がしっかりと感じられること。

沖縄と一言で言っても、本島、石垣島、宮古島、そしてそれぞれの離島では、文化や風習、暮らし方、そして言葉にも違いがあります。
「恋しくて」では、そんな石垣島ならではの空気が映画の中にたっぷり詰め込まれています。
そして、島の人たちの話し方やイントネーション。
高校生たちが音楽を楽しみながら過ごす姿も含めて、観光地としての石垣島ではなく、そこで暮らしている人たちの日常の石垣島を感じられる作品だと思います。
映画の公式紹介でも、石垣島を舞台に「笑って、歌って踊って泣ける楽しい沖縄産映画」と紹介されています。

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出演者の「素人っぽさ」が逆に魅力

この映画でもう一つ印象に残るのが、若い出演者たちです。

主演の栄順を演じた東里翔斗さんや、加那子役の山入端佳美さんら、若い出演者のフレッシュな存在感が作品を支えています。
特に山入端佳美さんは、当時高校1年生。一般の高校生約3500人の中からオーディションでヒロインに選ばれました。
現在の映画のように、人気俳優をキャスティングして作られた青春映画とは、かなり雰囲気が違います。
正直に言えば、「演技が上手い映画」とは言いにくい部分もあります。
でも、私はそこがこの映画の魅力だと思っています。
沖縄を舞台にした映画で、内地の俳優が沖縄の言葉を話すと、どうしてもイントネーションや雰囲気に違和感を覚えることがあります。
もちろん、それは俳優さんの演技力とは別の問題。

その点、「恋しくて」に登場する若者たちの言葉や表情には、作られた沖縄というより、実際の島の高校生を見ているような自然さがありました。
多少、演技がぎこちなくても、沖縄・石垣島の空気をまとった若者たちが画面にいる。
私は、その感じがとても好きです。

沖縄の実力派も出演

若い出演者だけではありません。
「ナビィの恋」など中江裕司監督作品でおなじみの平良とみさんをはじめ、石垣島出身のジャズシンガー・与世山澄子さんなど、沖縄ゆかりの出演者も登場します。さらに、沖縄民謡を代表する唄者の一人である登川誠仁さんも声の出演。
そして映画の終盤には、BEGINのメンバー本人たちも登場します。
このBEGINの登場シーンは、個人的にはかなり格好いいと思いました。
BEGINを知っている人なら、ちょっと嬉しくなる場面です。

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BEGINの音楽も映画の大きな魅力

音楽映画だけあって、BEGINの存在はもちろん大きなポイント。
映画の原案だけでなく、主題歌などでもBEGINが関わっています。

エンディングには「ミーファイユー」が使われ、映画のサウンドトラックには与世山澄子さんが歌う「What a Wonderful World」なども収録されています。

石垣島の風景と音楽が組み合わさることで、この映画独特のゆったりとした空気が生まれています。

BEGINの音楽が好きな人なら、より楽しめる作品だと思います。

「ナビィの恋」「ホテル・ハイビスカス」とは少し違う

中江裕司監督といえば、「ナビィの恋」や「ホテル・ハイビスカス」を思い浮かべる人も多いでしょう。
私自身もこの2作品が好きなのですが、「恋しくて」は少し方向性が違います。
「ナビィの恋」や「ホテル・ハイビスカス」と比べると、青春映画としてかなりストレート。
そのため、作品に対しては「中江裕司監督の過去作品の方が好き」という評価があるのも分かります。

実際、映画レビューなどを見ても、若い出演者たちの初々しさを評価する声がある一方で、演技や作品の展開については賛否が見られます。Filmarksでは現在も一定数のレビューが掲載されており、評価は3点台となっています。

ただ、私は「映画として完璧かどうか」という見方だけではなく、石垣島の高校生たち、そしてBEGINの青春をモチーフにした映画として見ると、かなり楽しめる作品だと思います。

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実は公開初日に見に行きました

私自身、この映画は公開当時、石垣島ではなく、監督の中江裕司さんによる舞台挨拶が行われた公開初日に観に行きました。

そのときのことを今でも覚えています。

中江監督が、沖縄を舞台にした映画であっても、内地の人気俳優を起用する作品について、少し批判的な趣旨の話をされていたのも印象に残っています。

もちろん、これはあくまで当時の舞台挨拶で私が感じた印象ですが、「恋しくて」という映画が、沖縄・石垣島の若者をできるだけその土地の空気の中で描こうとしていることは、作品を観ると伝わってきます。

2007年の映画なので、今から見ると少し時代を感じる部分もあります。しかし、それもまた、この映画の面白さ。
スマートフォンもSNSも今ほど身近ではなかった時代の石垣島の高校生たちが、音楽を通して夢中になっていく姿を見ることができます。

石垣島が好きなら、一度は観てほしい沖縄映画

「恋しくて」は、BEGINのファンだけが楽しむ映画ではありません。
むしろ、沖縄が好きな人、石垣島が好きな人にこそ観てほしい映画です。
観光で訪れる石垣島とは違う、島で暮らす高校生たちの目線から見た石垣島。

島の言葉や音楽、文化、家族、友人、恋愛。

そうしたものが一つの映画の中に詰め込まれています。

「ナビィの恋」や「ホテル・ハイビスカス」と比べると、少し評価が分かれる作品かもしれませんが、それでも、私はこの映画から感じられる石垣島の風と、若者たちの素朴な青春が良いと思っています。

そして最後にBEGINが登場するところも、ぜひ見てほしいところ。

少し懐かしい沖縄・石垣島を感じながら、BEGINの原点をモチーフにした青春映画を楽しんでみてはいかがでしょうか。

映画「恋しくて」作品データ

  • 製作年:2007年
  • 公開日:2007年4月14日
  • 上映時間:99分
  • 監督・脚本:中江裕司
  • 原案:BEGIN
  • 主題歌:BEGIN「ミーファイユー」
  • 出演:石田法嗣、東里翔斗、山入端佳美、宜保秀明、大嶺健一、与世山澄子、吉田妙子、國吉源次、武下和平、三宅裕司(特別出演)、平良とみほか
  • 製作:葵プロモーション、アミューズ、アミューズソフトエンタテインメント、スカパー・ウェルシンク、WOWOW、東京テアトル、パナリ本舗
  • 企画・制作:葵プロモーション
  • 配給:東京テアトル
  • 舞台:沖縄県・石垣島
  • ジャンル:青春・音楽・ドラマ

視聴方法

2026年9月現在、『恋しくて』のネット配信サービスは確認されていません。

「TSUTAYA DISCAS」でレンタルが可能です。見たい映画を検索して、チェックを入れておくと、順番に送られてきます。返却はポストに入れるだけ。
今時、DVDって感じもしますが、ここで紹介している、ちょっと古い映画は、ネット配信されていないもが多いので、歴代の沖縄が舞台の映画を見るには、便利なシステムです。
主なプラン
定額レンタル8: 月額2,052円(税込)
定額レンタル4: 月額1,026円
都度課金(単品)
2026年8月現在

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